利益相反(COI)管理指針

 

日本慢性看護学会 事業活動における利益相反(COI)管理指針

序文
日本慢性看護学会(以下、「本会」という)は、学術集会の開催、学会誌の発行、慢性看護の研究者の交流を支援する体制づくり、制度・政策の検討、国内または海外の慢性看護関連の学会・研究機関等との連携、その他の本会の目的達成に必要な事業を通して、慢性看護の知の体系化、慢性看護の研究者の交流を支援するとともに慢性看護に関する政策提言を行うことを目的としている。
慢性看護に関する学術活動は、人々の健康と生活の質の向上に資する研究活動をとおして行われており、企業・法人組織、営利を目的とする団体との産学連携により行われる場合が少なくない。産学連携においては、経済的な利益関係等により、公的研究で必要とされる公正かつ適正な判断が損なわれる、あるいは、損なわれるのではないかと第三者から懸念されかねない利益相反(conflict of interest: COIという )が必然的・不可避的に発生することがある。
研究対象が人である研究は、人権・生命を守り、安全に実施することに格別な配慮が求められる(「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」<文部科学省・厚生労働省・経済産業省、2021年3月23日公布>、「看護研究のための倫理指針」<日本看護協会、2004年>)。本会は、その活動を公明かつ中立に実施し、利益相反に関する説明責任を果たすため、「事業活動における利益相反(COI)管理指針」(以下、本指針)をここに定めるものである。

  1. 目的
    • 本指針の目的は、会員および本会事業関係者の利益相反状態を適切に管理することにより、公明性と中立性を適切に維持した状態で事業を推進し、看護学および看護実践の進歩に貢献することにより、社会的責務を果たすことにある。本指針は、会員などに対して利益相反についての基本的考えを示し、本学会の行う事業に参加する者が自らの利益相反状態を自己申告によって適切に開示し、本指針を遵守することを求める。
  2. 利益相反の定義
    • 本会では、利益相反を次のとおり定義し、管理の対象とする。
    • 1)個人としての利益相反
      本会会員および事業活動の関係者が産学連携活動等による利益もしくは責務が存在することにより、本会事業を遂行するために必要とされる公正かつ適切な判断が損なわれると第三者から懸念される、あるいは懸念されかねない状況をいう(利益相反)。
      また、本会会員等が本会事業の目的に反し、個人的な利害関係を優先させている、あるいは優先していると疑義をもたれる状態も含む(責務相反)。
    • 2)組織としての利益相反
      本会が、組織的産学連携活動等に伴って得る利益または組織的産学連携活動等に伴う責務と、本会の社会的責任が相反している、あるいは相反しているように見られかねない状況をいう。具体的には、産学連携活動や組織間連携活動、寄附金等をさす。
  3. 本指針の対象者
    • 1)学会役員(理事、監事)、学術集会会長、各委員会等の委員
    • 2)投稿論文著者
    • 3)学術集会の発表者・講演者
    • 4)学術集会以外の講演・セミナー等における講師
    • 5)その他の学会事業活動を担当する者で理事長が必要と認める場合(ガイドライン、マニュアル等の策定)
  4. 対象となる活動
    • 本会が行うすべての事業活動である。
  5. 申告すべき事項
    • 1)経済的な利益相反
      • (1)企業・法人組織、営利を目的とする団体の役員、顧問職、社員などへの就任
      • (2)企業の株の保有
      • (3)企業・法人組織、営利を目的とする団体からの特許権などの使用料
      • (4)拘束した時間・労力に対して支払われた日当(講演料など)
      • (5)企業・法人組織、営利を目的とする団体がパンフレットなどの執筆に対して支払った原稿料
      • (6)企業・法人組織、営利を目的とする団体が提供する研究費(受託研究、共同研究、寄附金など)
      • (7)その他、上記以外の旅費(学会参加など)や贈答品などの受領
    • 2)1)に含まれない利益相反
      個人的利害関係が生じるような状態にある場合(責務相反)
  6. 利益相反との関係で回避すべき事項
    • 1)看護学研究の結果の公表は、科学的な根拠と判断、あるいは公共の利益に基づいて行われるべきである。本指針のすべての対象者は看護学研究の結果とその解釈といった公表内容について、資金提供者・企業の恣意的な意図に影響されてはならず、また影響を避けられないような契約を資金提供者と締結してはならない。
    • 2)看護学研究、特に研究の計画・実施に決定権を持つ総括責任者には、次の項目に関して重大な利益相反状態にない(依頼者との関係が少ない)と社会的に評価される研究者が選出されるべきであり、また選出後もその状態を維持すべきである。
      • (1)研究を依頼する企業の株の保有
      • (2) 研究の結果から得られる製品・技術の特許料・特許権などの獲得
      • (3)研究を依頼する企業や営利を目的とした団体の役員、理事、顧問など(無償の場合は除く)
      ただし、(1)から(3)に該当する研究者であっても、当該研究を計画・実行する上で必要不可欠の人材であり、かつ当該研究が社会的にきわめて重要な意義をもつような場合には、その判断と措置の公明性および中立性が明確に担保されるかぎり、当該研究の責任者に就任することができる。
  7. 利益相反管理の体制
    • 1)本指針の目的を達成するために、利益相反委員会を設置する。 
    • 2)利益相反委員会は、委員長、委員若干名で構成し、理事会から担当理事をおく。委員は理事会の承認を経て理事長が委嘱する。委員は、委員会で知り得た情報を他に漏らしてはならない。その委員を退いた後も同様とする。
    • 3)本指針に関する細則(以下、「細則」)を別に定める。本指針と細則の改正および廃止は、利益相反委員会の議を経て、理事会で決する。
    • 4)本学会員は、本会が定める本指針に従わなければならない。

附則
本指針は2022年5月29日から施行する。ただし、2023年4月1日より本格施行とし、それまでは試行期間とする。

日本慢性看護学会 事業活動における利益相反(COI)管理指針に関する細則

  1. 開示すべき事項および自己申告が必要な基準を次の1)から8)のとおり定める。
    事項 自己申告が必要な基準
    1)企業・法人組織、営利を目的とする団体の役員、顧問職、社員などへの就任 1つの企業・団体からの報酬が年間100万円以上の場合
    2)企業の株の保有 1つの企業からの年間利益(配当、売却額の総和)が100万円以上、あるいは当該全株式の5%以上を所有する場合
    3)企業・法人組織、営利を目的とする団体からの特許権などの使用料 100万円以上の場合
    4)拘束した時間・労力に対して支払われた日当(講演料など) 1つの企業・団体からの合計が年間50万円以上の場合
    5)企業・法人組織、営利を目的とする団体がパンフレットなどの執筆に対して支払った原稿料 100万円以上の場合
    6)企業・法人組織、営利を目的とする団体が提供する研究費(受託研究、共同研究、寄附金など) 1つの研究に対して支払われた総額が年間200万円以上の場合
    7)その他、上記以外の旅費(学会参加など)や贈答品などの受領 1つの企業・法人組織・団体からの合計が年間10万円以上の場合
    8)経済的利益相反に含まれない利益相反 個人的利害関係が生じるような状態にある場合

  2. 利益相反申告・開示の実施方法と各種委員会対応
    • 各対象の利益相反の申告および開示の実施方法は1)から5)のとおりとする。なお、新たな利益相反状態が発生した場合は、その都度、修正申告を行うものとする。申告内容の確認を行う者は、「承認」「要ヒアリング」を判断し、必要時、当該事例の利益相反状況を理事長に報告する。確認を行う者は、役割上知り得た情報を他に漏らしてはならない。
    • 1)学会役員(理事長、副理事長、理事、監事)、学術集会会長、各委員会等の委員
      就任時は過去2年間、定期申告時は前年度1年間について、自身および生計を一にする配偶者・パートナーおよび一親等以内の親族のいずれかが、上記1で定める申告が必要な状況に該当する場合、具体的な企業等の名称および金額、職名を、会員管理システムSOLTI内の【COI様式1:本会役員、各種委員、学術集会会長等の利益相反(COI)申告書】に基づくフォームに従って申告する。申告内容の確認は利益相反委員会が行う。
    • 2)投稿論文著者
      本会の学会誌に論文投稿する著者(筆頭著者と共著者のすべて)は当該研究あるいは発表内容に関係する各自の利益相反を【COI様式2:本会の学会誌等で発表を行う著者の利益相反(COI)申告書】に記載し、投稿論文の初回提出時に、電子投稿システムにアップロードする。申告内容の確認は編集委員会が行う。
    • 3)学術集会の発表者・講演者
      学術集会の発表者・講演者は、当該研究あるいは発表内容に関係する利益相反を演題登録時に指定される方法で申告する。申告内容の確認は、学術集会長が行う。
      発表や講演の際には、スライドの冒頭またはポスターの最後に【COI様式3:開示例】にならい開示する。
    • 4)学術集会以外の講演・セミナー等における講師
      学術集会以外の講演・セミナー等における講師は、当該研究あるいは発表内容に関係する利益相反を演題登録時に指定される方法で申告する。申告内容の確認は、利益相反委員会が行う。
      発表や講演の際には、スライドの冒頭またはポスターの最後に【COI様式3:開示例】にならい開示する。
    • 5)その他の学会関連活動を担当する者(各種ガイドライン、マニュアル等の策定)
      就任時は過去2年間、定期申告時は前年度1年間について、自身および生計を一にする配偶者・パートナーおよび一親等以内の親族のいずれかが、上記1で定める申告が必要な状況に該当する場合、具体的な企業等の名称および金額、職名を、会員管理システムSOLTI内の【COI様式1:本会役員、各種委員、学術集会会長等の利益相反(COI)申告書】に基づくフォームに従って申告する。申告内容の確認は利益相反委員会が行う。
      対象 提出の機会 提出書類 提出先
      1)学会役員(理事、監事)、学術集会会長、各委員会等の委員 就任時、その後1回/年 COI様式1
      WORD
      PDF
      会員管理システムSOLTIを経由して利益相反委員会
      2)投稿論文著者 投稿時、著者ごとに COI様式2
      WORD
      PDF
      電子投稿システムを経由して編集委員会
      3)学術集会の発表者・講演者 演題登録時、
      発表時の両方
      COI様式3
      WORD
      PDF
      演題登録時:学術集会長
      発表時:スライドやポスター上で開示.
      4)学術集会以外の講演・セミナー等における講師 演題登録時、
      発表時の両方
      COI様式3
      WORD
      PDF
      演題登録時:利益相反委員会
      発表時:スライドやポスター上で開示.
      5)その他の学会関連活動を担当する者(各種ガイドライン、マニュアル等の策定) 就任時、
      その後1回/年
      COI様式1
      WORD
      PDF
      会員管理システムSOLTIを経由して利益相反委員会
  3. 自己申告書の管理
    • 本細則に基づいて提出された利益相反(COI)自己申告書は、学術集会発表に関するものは学術集会長の監督のもと、その他の本会の活動に関するものは理事長の監督のもと、個人情報として2年間厳重に保管され、原則的に部外秘とする。保管期間を経過した後には、速やかに削除・廃棄する。ただし、削除・廃棄することが適当でないと理事会が認めた場合には、必要な期間を定めて削除・廃棄を保留できるものとする。
      利益相反(COI)申告書は、本指針に定められた事項を処理するために、理事会および利益相反委員会が随時利用できるものとする。ただし、利用目的に必要な限度を超えてはならず、また、利用目的に照らし開示が必要とされる者以外の者に対して開示してはならない。
  4. 申告書の 利益相反状態の開示および公開
    • 当該申告者の利益相反状態について、疑義もしくは社会的・道義的問題が生じた場合には、利益相反委員会や理事会の議を経て、必要な事項について本会内部に開示あるいは社会へ公表するものとする。
  5. 疑義が生じた場合の対応と措置
    • 1)利益相反自己申告内容に関して疑義が生じた場合、理事長は利益相反委員会に当該事例に関する検討を諮問する。
    • 2)利益相反委員会は、指針および細則にしたがい、十分なヒアリング等を行ったうえで事実確認を行い、理事長に結果を答申する。
    • 3)理事長は利益相反委員会の答申をもとに、理事会で当該事例に関する対応を協議、決定し、その内容を当該会員等に通知する。
    • 4)当該会員等が指摘された利益相反状態の説明責任を適切に果たせない場合、指針違反の程度に応じて、論文発表の差し止めや掲載論文の撤回、 発表の差し止め、発表の撤回、解嘱等の措置を検討する。
    • 5)利益相反自己申告に関する疑義の通報者については、通報に係る秘密保持を徹底する。
  6. 不服の申し立て
    • 1)不服申し立て請求
      措置の決定通知を受けた者で、当該結果に不服がある場合は、通知を受けた日から30日以内に、理事長宛ての不服申し立て審査請求書を学会事務局に提出することにより、審査請求をすることができる。 審査請求書には、文書で示した措置の理由に対する具体的な反論・反対意見を簡潔に記載するものとする。その場合、それまでに開示した情報に加えて異議理由の根拠となる関連情報を文書で示すことができる。
    • 2)不服申し立て審査委員会
      不服申し立ての審査請求を受けた場合、理事長は速やかに不服申し立て審査委員会(以下、審査委員会という)を設置しなければならない。審査委員会は審査請求書を受領後、すみやかにに委員会を開催してその審査を行う。審査委員会は理事長が指名する若干名により構成され、委員長は委員の互選により選出する。利益相反委員会委員は審査委員会委員を兼ねることはできない。
    • 3)不服申し立て審査手続
      審査委員会は、必要に応じ利益相反委員会委員長ならびに当該不服申し立て者から意見を聴取することができる。 審査委員会は、特別の事情がない限り、審査に関する第1回の委員会開催日から1ヶ月以内に不服申し立てに対する答申書をまとめ、理事長に提出する。
  7. 説明責任
    • 本会は研究成果の発表において、本指針の遵守に重大な違反があると判断した場合、直ちに理事会の議を経て社会に対して説明責任を果たす。
  8. 改正と廃止
    • 本細則 は、理事会の決議により改正、廃止することができる。

附則
本細則は2022年5月29日から施行する。ただし、2023年4月1日より本格施行とし、それまでは試行期間とする。

【事務局】
〒150-0012 東京都渋谷区広尾4-1-3
日本赤十字看護大学内 日本慢性看護学会事務局
FAX:03-3409-0589
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