理事長挨拶

 

日本慢性看護学会 理事長 本庄恵子(日本赤十字看護大学) 日本慢性看護学会は、慢性看護の知の体系化をめざし、慢性看護の研究者の交流を支援するとともに、慢性看護提供システムに関する政策提言を行うことを目的として、2006年に設立されました。本学会は、この目的を達成するための取り組みを発展させつつあります。

 慢性看護の知の体系化としては、2016年に10周年記念事業の成果物として、「10周年記念誌-慢性看護の知の体系化-」が公表されました。ここでは、慢性看護の概念図が示され、慢性病と共に生きる人を生活者として捉え、生まれる前から亡くなるまでの長期スパンで、その人の主体性/もてる力を尊重し、ウェル・ビーイングに向けて支援することが慢性看護の核となるものとして示されています。

 2019 年度からは「慢性看護学の知の発展推進事業」に取り組んできました。この事業は、「慢性看護学の知の一層の発展に向けて、発展の必要な方向性を検討し、それに適切な体制を整備(継続的な研究助成の体制整備、慢性看護実践に携わる看護師・認定看護師・専門看護師の活動を支援する体制整備等)することを通して、本学会のすべての学会員が協働して慢性看護の更なる知の発展を推進する基盤を構築する」ことを目指しています。具体的な取り組みとして、1)継続的な研究助成の体制整備、2)慢性看護学における事例研究推進プロジェクト、3)学会ホームページにおける「慢性看護実践に携わる看護師・認定看護師・専門看護師」を紹介するページの作成がなされてきました。これらの取り組みのまとめとして、2023年度には、学会ホームページに「慢性看護学の知の発展推進事業報告書」を掲載いたしました。

 本学会が継続的に取り組んでいる研究助成の活用や、事例研究推進プロジェクトの成果の活用などを通して、慢性看護のさらなる発展にむけた研究が推進されていくことを期待しています。そして、学術集会での交流の他、本学会の「CNS・CNのひろば」などが、慢性看護に関心を寄せる皆様をつなぐ場として活用されることを願います。本学会は、慢性看護の教育・研究に携わる教育研究者と、高度実践看護師(専門看護師)や認定看護師などの慢性看護の実践に携わる人が集う学会でもあります。慢性看護を探求する教育研究者と実践者の交流と協働をさらに深化させることで、慢性看護の新たな知が創出されることが期待できます。2020年度から、日本慢性看護学会誌のJ-stageへの搭載が始まり、投稿論文等の知見が広く世の中に公開されるようになりました。慢性看護の実践や教育に関する新たな知を普及させるためにも、みなさまからの日本慢性看護学会誌への投稿をお待ちしております。

 日本慢性看護学会は、慢性病者一人ひとりの「こうありたい」と願う生活やもてる力を大切にし、慢性看護の新たな知の創出に向けた努力を続けたいと思います。慢性の病いと共に生きる人たちに必要なケアを届けるために、多職種専門家や多くの学会とも協働しながら、政策提言も行っていきたいと考えます。

 学会創立20周年を迎える2026年にむけて、日本慢性看護学会がこれまで積み重ねてきた取り組みを一層発展させ、社会に貢献できるよういたします。皆様からご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願いいたします。

2024年4月1日
日本慢性看護学会
理事長 本庄恵子
(日本赤十字看護大学)

【事務局】
〒150-0012 東京都渋谷区広尾4-1-3
日本赤十字看護大学内 日本慢性看護学会事務局
FAX:03-3409-0589
ページトップへ▲